理学療法士向け勉強会

先日、理学療法士向けの勉強会を行いました。

内容は、
「関節運動学概論と、骨・関節の運動連鎖の全体像」
(今日のブログは、理学療法士向けの内容です)
 

学生時代、骨運動学は学校の授業で習っても、関節運動学は習っていない人がほとんどです。あなたはどうでしたか?
また、動作分析が苦手だという声もよく聞きます。


それもそのはず!!


動作分析には、関節運動学と、骨関節筋肉の運動連鎖がわかっていないとなぜその動きになるのか理解しにくいからです。
また文章で書いてある動作分析を読むと、難しく感じる。
とっつきにくい。
さらに、動作分析は、学生時代より臨床経験がある方が患者様に当てはめる事が出来るので、理解しやすいのですが、学生時代に難しくて嫌だと思う事を、仕事をしながら独学で勉強出来るでしょうか?
苦手だからと敬遠して、したくないのが普通かもしれません。
頑張って勉強しようと本を読むと、漢字ばかりで難しそうな内容でどこから勉強したらいいのかわからないから、やっぱりやめようとなるのかもしれません。


しかし、今回の勉強会の後、こんな感想いただきました。


「明日から患者様をみるのが楽しみで仕方ないです。
動作分析や、運動連鎖が苦手なのですが、今回習って運動連鎖によって全身にこんなに影響しているなんて驚きでした。そして、はじめておもしろいと思いました。
これがどんなふうに動作にあらわれているのか、まだまだ知りたいし、どんなふうにこれを応用出来るか、考えると、明日からの患者様を見る目が変わります。」

 

 
 
 
 


病名で患者様をみると、決まったアプローチしか出来ません。
 


例えば、変形性膝関節症の病名で来院された患者様。
 
 

ご存じのように

変形性膝関節とは、
関節軟骨の老化現象(加齢・代謝障害・循環障害・肥満など)によるものと、基礎疾患(骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症、リウマチ等の関節疾患)として発症によるものがあります。
それにより、膝関節に退行性変化と増殖性変化が起こり、関節の形態に変化をきたらす疾患です。

これらの原因を背景に、生活習慣の乱れによる姿勢の変化や膝にかかる荷重のアンバランスなどによる機械的ストレスが更なる進行を助長してしまいます。
加齢によるものでは、関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、遣い過ぎによりすり減り、関節が変形します。

症状としては、痛み、可動域制限、関節周囲筋の萎縮、筋力低下、腫脹、関節水腫を特徴とします。


だから、変形性膝関節の患者様は、関節可動域訓練と、筋力増強訓練をすればいい。と考え、変形性膝関節の人の治療は毎回こうすればいいと同じ事を行なっていいのでしょうか?
 
 
 
 
 


●その人がなぜ今の状態になったのか。
全体像、基礎疾患、生活習慣等の把握
●現在の症状(痛み、可動域制限、関節周囲筋の萎縮、筋力低下、腫脹、関節水腫…)
●X線上の骨変形の程度
●原因(関節包内の原因、関節包外の原因、)
●問題点: どんな動作時に支障が出ているのか。痛みがどんな動作で出るのか。
●動作時の膝関節の捻れは?動きの方向による痛みの有無。
●骨関節筋肉の運動連鎖はどこからおこっているのか?
●膝の捻れがあれば捻れを戻すと、上下の関節や筋肉はどう動くのか?
●代償運動による筋肉のアンバランスがどこにあるのか?だからどの筋肉を強化すればいいのか?
●問題点、何が出来るようになりたいとおっしゃっているのか?今後どんなゴールに導いていくのか。

を考えると、人の数だけ治療方法は異なるし、ゴールがあると思うのです。
 

症状を把握し、まず自分が治療出来る範囲と、範囲外は、きちんとわける。
範囲外の部分は医師に指示を受けたり報告して対応する。
すべてを治せるというのは間違いですし、痛みが楽にならなくて当たり前も違うと思います。
自分は、何を治療しているのかそれによってどう変化したか。常に考えて行なう事が大切です。
評価→治療→再評価が、毎回必要です。
長期的にもこれが大切です。
 

そこから、関節可動域訓練、筋力増強訓練、動作訓練をすると、1人1人違った治療方法になりますよね。
簡単に言えば、その人の膝関節の捻れを考慮して関節可動域訓練をするとか、捻れ方向に動いてのであれば、膝関節周囲の筋肉も不均等です。それにあわせて、筋力増強を行なうとか。動作訓練も本人が問題と思っている動作や骨関節筋肉の捻れは人それぞれ違います。そこを考慮して動作訓練を行なうなど…全員同じ治療法ではないはずです。
 


そしてさらに、


病気ではなく、人を見る。


新人のときに教えてくださった、恩師の言葉

木を見て森を見ず

細かい部分にこだわりすぎて、大きく全体や本質をつかまないこと

人を見る時もそうだと思います。



多角的な視点が大切だと私は思っています。
変形性膝関節症で処方されて膝だけみるのではなく、そこの動きの捻れが全身にどう影響しているのかも大切です。

疾患名は、変形性膝関節症だけど腰が痛いとか、色々な場所に痛みがある人も多いのです。

体はつながっています。
だからこそ、関節の捻れが全身に連鎖して、今の状態になっていることも多いのです。
だからこそ、全体像を見て治療をすると、膝だけでなくあちこち楽になる方も多いのです!

病名で判断していては見えない部分があります。

新人の頃から、色々な先生に教えていただき、この見方をして多くの症例を積み重ねたからこそ、多くの方に喜んでもらえました。

だからこそ、多くの理学療法士にその考え方を知ってもらいたい。
その1人の理学療法士の先には多くの患者様につながっているから。

ぜひ、人の体の不思議を楽しんでもらいたい。勉強って、楽しいからもっとしたいと思ってもらえる勉強会をいつも目指しています。
 
 
勉強会もグループだけでなく、パーソナルでも行なっています。
一人で悩まず、困った時は人の力をかりることも大切です。
気になった方は、ご連絡くださいね。
 
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